研究対象は、次世代エレクトロニクスで注目を集める、磁性半導体や遷移金属酸化物などの機能性電子材料です。
強磁性磁性半導体 (Ferromagnetic semiconductor)
磁性半導体は、GaAsやTiO2などの半導体に数%の濃度で磁性元素(主に3d遷移金属)を添加した系であり、半導体と磁性体を合わせた性質を示し、スピントロニクスにおいて鍵となる物質です。
研究室では、磁性半導体の電子構造解析から、組み合わせによる化学的な傾向や電子状態の変化を調べ、物質設計の指標を得ることを目標としています。
遷移金属酸化物(Transition-metal oxide)
酸化物は熱的な安定性が高く、従来の半導体材料を置き換える潜在力を持つ物質として注目を集め、酸化物エレクトロニクスを目指した研究が盛んに行われています。
研究室では、酸化物を用いた極薄膜の電子構造解析から、量子サイズ効果が効いてくるナノスケールでの電子の振る舞いに関する基礎的な知見を得ることを目指しています。
放射光分光(Synchrotron radiation spectroscopy)
実験は主に高輝度のX線を利用できる放射光施設で行います。
放射光施設では明るくよく絞れた光を広いエネルギー範囲で使うことが可能で、放射光は電子構造解析にとって理想的な光源となります。
特に内殻励起による元素選択的な測定や、価電子帯におけるバンド構造の直接観測は、電子構造解析において非常に強力な実験手法となります。
当研究室では、これら放射光を用いた分光を組み合わせて、物質の電子構造を明らかにします。