概要

本拠点とセンター設立の経緯

 本事業は日本学術会議「マスタープラン2014」重点大型計画および文部科学省「学術研究の大型プロジェクト-ロードマップ2014」として採択が決定した「『スピントロニクス学術研究基盤と連携ネットワーク』拠点の整備」を実施するものです。「スピントロニクス」は、エレクトロニクスや情報処理に「スピン」の自由度を積極的に取入れることにより、革新的な材料、デバイス、システムの研究開発を行う学際的かつ横断的な分野です。近年の磁気記録技術の飛躍的な向上に重要な役割を果たした巨大磁気抵抗効果(GMR)の発見に対し、2007年にノーベル物理学賞が授与されたことからもわかるように、「スピントロニクス」は学術および応用技術の両面で急速な発展を遂げており、世界中で激しい研究開発競争が行われている注目の重要分野です。材料、デバイス、システムの各階層において、「電荷」や「光」に加えて「スピン」を用いることにより、エネルギー消費を抑えた新しいICT技術の飛躍的発展をもたらし、新産業の創造と現産業の強化、省エネルギー・環境調和型社会の実現に寄与することが期待されます。このためには、物理学、応用物理学、電子工学、磁気工学、材料科学、化学、情報科学およびそれらの境界領域・新領域にまたがる多様で横断的な研究が必要であり、新しい学術の創造にも寄与します。

 本事業では、スピントロニクス学術連携研究教育センターを拠点大学(東京大学、東北大学、大阪大学、慶應大学)に設置し、主要大学、国研、関連企業をはじめとする国内有力研究機関を結ぶネットワーク拠点とする計画です。組織間の連携により、日本の研究力、産業競争力を高め、技術革新を起こすと同時に、次世代を担う研究者や技術者を育成します。

 東京大学はスピントロニクス分野で世界をリードする研究者を多数擁しており、他の3拠点大学(東北大学、大阪大学、慶應義塾大学)とともに、本事業の中心的拠点としての役割を担います。東京大学では工学系研究科に「スピントロニクス学術連携研究教育センター」を設置し、理学系研究科、生産技術研究所、物性研究所などからもご協力を得て、本事業を推進します。本センターは「『スピントロニクス学術研究基盤と連携ネットワーク』拠点の整備」を実施する中心的な役割を担います。個々の研究者が行う既存のプロジェクトや既存の研究機関や組織とも連携・協力し、海外の研究機関とも積極的に協力や交流を行います。

 拠点となる4大学のおおよその役割分担としては、東京大学はスピントロニクス材料および素子製造・評価、東北大学ではスピントロニクス素子・集積システム製造・評価、大阪大学ではスピントロニクス材料デザイン・素子設計、慶應大学では量子スピントロニクス材料・素子製造・評価を担います。これらの拠点を中心に全国の有力研究機関・研究者と連携・協力してスピントロニクス研究を進め、人材育成を行います。

 本事業の推進により、①世界をリードする個々の研究グループや研究機関の間にネットワークを構築、②緊密な交流や共同研究を促進し、All Japanでさらなる研究の展開とイノベーションを起こす、③異分野横断型(物理学、応用物理学、電子工学、磁気工学、材料科学、化学、情報科学および境界領域・新領域)の新しい科学技術を創造し新産業創造と現産業強化、省エネルギー・環境調和型社会の実現に貢献、さらに④創造性にあふれ、世界と戦える(かつ協調できる)次世代の研究者・技術者を育成することを目指します。

キックオフシンポジウム
キックオフシンポジウム

 「スピントロニクス学術研究基盤と連携ネットワーク拠点」および「東京大学スピントロニクス学術連携研究教育センター」のキックオフシンポジウムを2016年5月19日に東京大学・本郷/弥生キャンパス武田ホールにて盛況のうちに開催した。
http://www.cryst.t.u-tokyo.ac.jp/SpintronicsCenter/

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4大学拠点の概要

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